童話賞 入賞のコツ

公募あれこれ
私が童話コンテストに初めて応募したのは、今から10年ほど前のことです。
初応募で、優秀賞をいただき、それを皮切りに10回以上入賞、賞金総額は80万円(童話・メルヘンのコンテストのみ)を超えました。
元々、童話作家や児童文学作家を志していたわけではないので、プロになれるような児童文学の新人賞には応募したことはありません。自分はそういうレベルではないし、長いものを書ける資質もないとわかっているからです。
ただ、趣味として続けてきた中で、入賞率は高いほうだと思いますので、以下、童話コンテスト入賞を目指して頑張っている方のお力になれればと思い、アマチュア向け童話コンテストの入賞のコツをまとめてみました。
過去の入選作を読める限り読む

一番大事なのは、そのコンテストの過去の入選作品を読める限り読むということです。

当たり前のことのようですが、意外とやっていない人が多いものです。

過去の入選作品を読むことがなぜ大事かというと理由は2つあります。

1つは、もちろん、傾向がわかるということですが、もう1つ大事なことは、「そのコンテストでそれまでに入賞していなかった話」をさがすためです。

一昨年の日本新薬こども文学賞で、「ぼくは時計」という作品が最優秀賞を受賞しました。この作品の作者は小学生です。

実は、わたしも「エアコン」と「時計」の話はずっと考えていました。なぜなら、めぼしい童話コンテストの受賞作の中にこの2つをテーマとしたものがなかったからです(ちなみに冷蔵庫の話はよくあります)。

実際、エアコンを擬人化した話は書いて応募したことがありますが、1次も通らずに落選しました。受賞作を読んで、小学生ならではの発想に脱帽です。自分にはこういうものは書けないな、と。それと同時にもう「エアコン」と「時計」の話は、コンテストに応募しても余程のアイディアでない限り当分は入らないのではないかと思っています。

童話のコンテストの審査員さんというのは、どこもそうですが、非常に長く審査員をされている方が多いです。10年20年、あるいは30年以上、同じ人がやっていることがあります。当たり前ですが、過去の最終選考以上の作品にすべて目を通しているわけです。そういう方が読んだ時に、「これ、前にあった作品と似てるな」と思われたら、どんなに上手な作品でも外されてしまうかもしれません。

ただ、童話コンテストで最終選考に残る方は、常連の方が多く、そういう人はみなさん、過去の作品とかぶらないほうがいいとよく知っているので、今までにない作品を書いてきます。だから、逆に入賞作品が同じような題材になってしまう年もあったりします。

どちらにしもて、大賞だけでなく、入選作品集が出ているものはそのすべての作品に目を通したほうがよいです。そうすることで、大賞と優秀賞の違い、優秀賞と佳作の違いもはっきりと見えてくるはずです。

大賞は異色作

過去の受賞作を読んだほうがいいと聞くと、大賞作品だけを読んでしまいがちですが、これも落とし穴があります。実は、大賞作品は、それまでになかった異色作が選ばれているケースが多いからです。つまり「傾向」とは真逆の作品なのです。

5枚10枚は誰でも書ける枚数だから、簡単なようですが、いい作品を書くのは実は非常に難しいです。10年、20年書き続けてやっと入賞した、という人も多い世界です。

その割に、受賞のコメントなどで、「童話を初めて書きました」とか「初めて、コンテストというものに応募しました」という言葉が多いのは、なぜでしょう。

それは、こどもの書いた絵が無垢であるように、初めて書いた作品というのは欲がなく、その人しか書けない持ち味がよくでたり、また、素材が光っていたりすることがあるからです。そういう作品は、作風がわかってしまっている常連投稿者の作品の中で、ぱっと目立ちます。私が授賞式で審査員の先生とお話していた時に「名前を伏せてても誰が書いたかわかるんですよね~」とおっしゃってたぐらいなので。

それと、「童話を書いたのが初めて」「童話のコンテストに応募したのが初めて」と言っているだけで、その受賞者は小説を書いていたり、脚本の勉強をしたことがあったり、童話以外の文章を書くプロだったりする場合も多々あるからです。

どちらにしても、そういう作品は意識して書くことができないので、まさに「初応募ラック」ともいえる幸運で、大賞を射止めてしまうことがあるのです。これは狙ってできるものではないので、まさに運が良かったとも言えるわけです。

 

私の受賞歴の中にあえて、応募回数を入れたのは、自慢もありますが(すみません)、1回目で入賞できないものは、入賞までにかなり時間がかかるということを知ってほしかったからです。アンデルセンや新実南吉童話賞は、足掛け10年かかっています。

残念ながら、童話賞コンテストは減少の一途をたどっています。少子化も進んでいるので、今後、コンテストの総数が減ることはあっても増えることはないでしょう。ですので、1回1回の開催が大事になってきます。そういう中で、絵本テキスト大賞等は、大賞が出ないこともあり、もったいなあ、といつも思っています。ライバルは他人ではありません。大賞が出てないところがあるのですから。

これから、6月~9月までは童話コンテストが多い季節です。

コツコツがんばっていきましょう♪

 

<基本的に気をつけること>

応募要項をよく読む。規定外だとそもそも審査すらしてもらえません。

・ファイルを何度も送り直したり、差し替えを頼んだりするのはご法度です。主催者に迷惑をかけないことをまず第一に。応募要項に書いてあることを問い合わせしたりするのも×です。

・切手代を間違えない。送料不足で受け取ってもらえてない場合があります。心配なら郵便局で計ってから出しましょう。

・添え書きやクリアファイルを入れない。何百通と受け取る側は処分に困ります。原稿のみ、普通郵便が理想(長編の場合は別ですが)。

・コンテストに落ちたら、入賞作や選評をよく読む。そして、入選作をけなさず、そこから学ぶこと。